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枢木レイさんのブログ

2025年6月19日 (木) 2:05

西洋の自死から考える移民政策の末路

読書感想文「西洋の自死」 ISBN 978-4492444504 ダグラス・マレー著 東洋経済新聞社 人手不足を理由に「技能実習生」という名目で、 出稼ぎに来る外国人が増加している。 本来、技能実習生は、日本の技術を伝授し、 母国の発展に貢献する目的で、始まった制度なので、 政府は断固として「移民」という言葉を使わない。 しかし、その実態は、ただの移民だ。 企業が求めているのは、建設、介護、飲食、小売など、低賃金で過酷な労働に従事してくれる都合の良い労働力。 その中身は、海外の移民と遜色がない。 技能実習生は、渡航費や日本語学校の学費を借りて、来日する。 その平均借入額は、55万円。 母国で働いても、容易に返済できる金額ではない。 ベトナムでは、丸一日、服を作る工場で働いても、月収3万円程度にしかならない。 収入の10%を、返済に回しても、完済には、15年かかる。 ゆえに、日本に渡るためのビザは、片道切符だ。 一度、借金をして、日本に渡ると、 返済を終えるまで、転職も帰国もできない。 私欲に塗れた経営者たちは、技能実習生の立場を利用して、とことん搾取し、 劣悪な労働環境に耐えかねた技能実習生が、失踪している。 その数は、年間で1万人近く。 会社を辞めて失踪すれば、その時点で不法滞在者となり、 日本での生活が、無理ゲーと化す。 その結果、技能実習生による闇バイトが横行し、 日本人の平穏な生活が脅かされている。 また、技能実習生を受け入れたことで、 賃金上昇に歯止めがかかって、日本人が貧しくなり、 日本人vs外国人という新たな対立構造を生み出そうとしている。 まるで、第二次世界大戦以降のイギリスだ。 第二次世界大戦後のイギリスの外国人割合は、3%程度だった。 この数字は、今の日本の外国人割合と同じくらいだ。 しかし、現在のイギリスは、 外国人の割合が、14%にまで増加し、 ロンドン市民に至っては、35%が外国人だ。 Diversity(多様性)という偉大なる教義によって、 公立学校では、キリスト関連の行事に触れることもできない。 英国の伝統的な価値観は、マイノリティと化し、 英国の民族的アイデンティティでさえも、崩壊しかけている。 国家の安全保障を考える上で、民族的アイデンティティは、重要な役割を果たす。 西ローマ帝国は、国防をゲルマンの傭兵に任せた結果、 クーデターを起こされて、滅亡した。 傭兵たちは、お金のために働いているだけで、 国家に対する忠誠心は皆無だ。 身の危険を感じたら、雇い主を裏切って、寝返ることも、多々あった。 ゆえに、中世のヨーロッパでは、忠誠心のある傭兵が求められていた。 騎士道に、Royalty(忠誠心)という概念が存在するのも、歴史の影響だろう。 一方で、日本人は忠誠心の権化のような民族だ。 天皇陛下にとって、国民は大御宝であり、 国民は、陛下を信じて、崇拝する。 陛下と国民の間には、絶対的な信頼関係があり、 それが、忠誠心の根幹になっていた。 その証として、西洋の騎士道には、命を賭すほどの忠誠心はないが、 武士道では、君主のために命を賭すことがVirtue(美徳)とされている。 サムライたちは、国を憂う君主のために戦うことで、 愛するものを守れると信じていたからだ。 国のために命を捧げるのは、サムライだけではない。 昭和天皇は、御命と引き換えに、 日本国の安寧を、お望みになられた。 君主と国民は、互いを守ることに、命を賭けている。 特攻隊のような悲しい歴史は、絶対に繰り返してはならないが、 君主と国民の間に、命を賭すほどの忠誠心があったからこそ、 日本の国体が維持された事実は無視できない。 しかし、民主化の皮をかぶった「日本人弱体化計画」が遂行されたことで、 日本人の精神性やアイデンティティは、失われてしまった。 日本を統治する支配者は、拝金主義者に変わり、日本は資本階級社会に移行する。 拝金主義のカシラに、金儲け以外の思想はない。 お金のために、自国を売り飛ばすことも厭わない輩(やから)もいる。 このまま、拝金主義者の言いなりになれば、 日本は、欧米諸国と同じ轍を踏むことになるだろう。 近年のイギリスでは、従来の形に戻ろうとする作用が働いている。 Brexit(EU離脱)の可否を決定する国民投票では、 移住者問題が、大きな争点になっていた。 従来の移民は、戦争や迫害によって自国を追い出された難民だったが、 1993年にEUが発足されると、EU加盟国の移住者が増加する。 EU加盟国は、ビザなしで自由に出入国することができる。 その結果、一人当たりGDPの低い東欧から、大量の移住者が流れ込み、 移住者の増加によって、学校や病院等の公的サービスを拡充せざるを得なくなっていた。 もちろん、移住者も税金を支払っているから、 サービスを利用する権利はある。 しかし、その数が、あまりにも増えすぎて、 ネイティブの雇用や生活を脅かす存在になり、 ネイティブvs移住者という新たな対立構造が生まれた。 Brexitの可否を問う国民投票では、52%が賛成し、 イギリスは、EUを離脱した。 しかし「めでたしめでたし」で終わるほど、 現実は甘くない。 他国の安価な労働力は、覚醒剤のようなものだ。 一度、その甘い汁を吸ってしまったら、 簡単には抜け出せない。 EUを離脱して、移住者が減っても、 安価な労働力の需要が減少するわけでない。 人手不足が深刻化したことで、物価高が高騰し、 不法入国する輩まで増えてしまった。 52%の票を得て、実行されたEU離脱も、 62%が、誤りだったと考えている。 今の日本でも「多様性」という仮初めの正義の下、 マジョリティであるはずの日本人が、 割を食う世界線に移行しつつある。 今の日本の外国人割合は、戦後のイギリスと同水準だ。 ここで移民政策を進めるか、日本人だけでも賄える社会を作るかで、 今後の日本の未来は決まるだろう。