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枢木レイさんのブログ

2025年3月28日 (金) 20:43

読書感想文 母性

湊かなえの「母性」という小説を読んだ。 ISBN ‎978-4101267715 ※ネタバレなし 普段は、絶対に読まないジャンルの本だ。 作者が、武庫川女子大の家政学科出身という時点で、 私とは、相反する生き方をしてる人だろうなと思う。 私は、男社会に近い環境で、生きてきた人間だ。 ステレオタイプの女らしい生き方は好きじゃない。 だから、彼女の作品を読む気にはなれなかったんだけど… 気がついたら、湊かなえワールドにハメられていた笑 この本の主人公を、端的に表現するなら、女版のマザコンだ。 母親に愛されるために、いい子を演じ続ける女性の話。 主人公の女性は、子どもの頃から、 母親に愛されるためだけに生きてきた。 大人になっても、母親の愛を求め続けることを辞められない。 母親に愛されるために、 母親が気に入った男性と結婚し、 母親に孫を見せたいがために、子どもまでもうけた。 絵に描いたような幸せな家庭。 しかし、主人公は、ちっとも幸せじゃなかった。 本当は、いつまでも母親の娘として、母親に甘えていたい。 でも、母親に愛され続けるためには、母親にならなければならない。 それが、主人公にとっては、辛くて辛くて仕方のない現実だった。 当然のことながら、主人公が娘に注ぐ愛情は歪なものだ。 主人公が娘を育てるのは、母親に愛されるため。 決して、娘が可愛くて、愛情を注いでいるわけではない。 湊かなえのすごいところは、主人公の気持ち悪さを、これでもかというくらい、秀逸に表現していること。 本を読みながら、鳥肌が立ったレベルだ。 生理的に無理なジャンルの官能小説を、 無理やり読まされているような感じだな。 あまりにも、主人公が気持ち悪すぎて、本を閉じたい気分になったが、 それ以上に、主人公の末路が気になって、読むことを辞められない。 …私は、ドMなのだろうか? 主人公の娘は、母親の愛情が、自分に向いていないことに、気がついていた。 残念ながら、女とは、そういう生き物だ。 小学生にもなれば、同じ女である母親の気持ちを、敏感に察知する。 主人公と娘は、見事なまでに、すれ違っている。 同じものを見ているはずなのに、主人公の認知と、娘の認知に大きなズレがあるのだ。 世の中の母娘関係も、この作品の母娘関係レベルで、ズレているのかもしれないな。 女の人間関係は難しい。 やっぱり、普段読まないジャンルの本を読むのは面白いな。 作者の肩書きから、合わないと思って避けてたけど、 苦手だと思っていたものも、食べてみると、 美味しかった…みたいな経験は、たくさんある。 むしろ、食わず嫌いをしていた作品の方が、 新しい発見があって、面白いんだよな。 本の食わず嫌いはやめよう。